エンジニアチームで”挨拶すること”だけが目的の朝会を1年間続けた話
PLAID Advent Calendar 2018 の第9日目の記事です。
今日は僕がプレイドに入社した頃からエンジニアチームでずっとやっている「朝会」について紹介します。うまくいかなかったエピソードや転機、良くするためやったこととそこから得られた学びについて書ければと思います。
背景 — 朝会開催のきっかけと目的
今から約1年半前の2017年4月に、僕はプレイドに入社しました。入社当時のプレイドでは、約20名のエンジニアが数名ずつのチームにわかれ、それぞれのテーマに沿ってプロダクトの開発に取り組んでいました。
僕には前職でスクラムを用いたアジャイルなチームビルディングに取り組んだ経験がありました。僕より前に会社にジョインしていたエンジニアの意見や課題感も参考にしつつ、以下の目的でエンジニアチーム横断の「朝会(デイリースタンドアップ)」を開催することにしました。
- チームをまたいだコミュニケーション・議論のきっかけをつくる
- チームに発生している課題をすばやく見つけて機敏に対応する
- 日々の開発のリズムづくり
プレイドでは、自分が一番パフォーマンスを出せる環境を自分で選ぶことができる(or 選ぶ責任がある)という考え方があります。それぞれのエンジニアが勤務時間や働く場所(オフィス or リモート)を、状況に応じて柔軟に選びながら働いています。
そういった背景も考慮して、
- 朝会は必須参加ではなく任意参加
- 発生した課題やトピックなどを参加者から共有
- 各チーム一人ずつ参加してもらえること推奨
のような、全員の参加を強制しないスタイルで朝会を開催することにしました。
課題 — 次第に減っていく参加者
平日の朝 10:15 から朝会を毎日開催していました。はじめて間もないころは、毎日参加するメンバーが少しずつ変わりながらも、それなりの人数が参加していました。
ですが、朝会を始めてから半年の間、次第に参加者が減り始めました。この朝会に関しては僕がオーナーシップを持っている自覚があり、僕は特別な事情がなければ毎日参加するようにしていました。終盤になると、朝会に参加したものの「参加者は自分ひとりだけ」ということもちらほら起きるように。
参加者を増やすことは目的ではありませんが、誰も参加しない朝会になってしまったら、もともと挙げていた目的はもちろん達成できません。
ただ、「何か変えなきゃいけない」という課題を感じつつも、当時個人的に他にも仕事でうまくいかないことや悩んだりすることが重なっていたこともあり、具体的な打ち手を考えたり行動したりすることができていませんでした。
無意識のうちに気分が落ち込んでいたのか、朝会の様子を眺めていたエンジニア以外のメンバーから、「お通夜みたいになってるよ。ミーティングのオーナーであるお前は少なくとも明るく元気にやんなきゃ」というフィードバックをもらうこともありました。
何か変えなきゃいけない。みんなから必要とされていないのであれば、朝会をやめることも視野に入れて考えたほうがいいのかもしれない。考えていました。
転機 — 挨拶するだけでもいいんじゃない?
ちょうどその頃忘年会シーズンだったこともあり、エンジニアチームで焼肉を食べに行く予定がありました。色んなことをカジュアルに話してみたいという気持ちもあり、「朝会があまりうまく行かなくて悩んでいる」ことを同じテーブルに座っている同僚たちに相談することにしました。
すると、隣に座っていた同僚エンジニアが一言。
「挨拶するだけでもいいんじゃないですか? 」
彼からは「高尚な目的を掲げても、そこに課題感を感じていない人にとっては意味がない。でも、朝「おはようございます!」と挨拶をして、そこから気持ちよく一日の仕事を始めることは、少なくとも自分にとっては意味があることだし、自分は前よりも参加すると思いますよ。」といった内容の意見をもらいました。
話を聞いていて、僕の中で何かがピンっとつながった感覚があったのを今でも覚えています。僕には物事を難しく考えすぎる癖があり、今を思えばその頃も難しく考えていたのかなと思います。
朝会の目的を「挨拶すること」だけにしたらどう変わるだろう。ワクワクした気持ちでその日は家に帰りました。
変化 — 挨拶することだけを目的に
朝会の目的の一つとして挙げていた「開発の日々のリズムづくり」。まずはこの一つだけに焦点をあて、これを大目的として考えることにしました。
そのうえで、朝会自体の目的は「お互いに挨拶をして、今日の開発をはじめること」にしました。
- 「おはようございます!」と挨拶する
- (もしみんなに伝えたいことがあれば)共有したい内容を伝える
- 「今日も一日よろしくおねがいします!」とみんなで言って解散する
あくまでも「挨拶すること」だけが目的なんだということを強調して、既存のエンジニアメンバーや、新しく入社したエンジニアメンバーに伝えることを心がけました。「朝挨拶してから仕事をはじめると気持ち良い」それだけが朝会を支える根拠です。
チーム間のコミュニケーションや、課題の早期発見・対応といった残りの目的は一旦は置いておいて、何か問題が起きたときに考えることにしました。朝会のようなタイミングがなくても、必要に応じて適切なコミュニケーションが行動が行われるような気がしたので、その感覚を信じることにしました。
結果 — 参加者もチーム間の共有も増えた
朝会の目的を「挨拶すること」だけにして再スタートしてから、そろそろ丸一年が経ちます。(多分)特別な理由がない限り毎日朝会は継続的に開催されました。
再スタートの前後で、朝会の参加人数が明確に増えました。参加者が僕ひとりだけの日が続く、というようなことはもう起きなくなりました。
また、「挨拶すること」だけが目的だったはずなのに、チームをまたいだ何かしらの共有がほぼ毎日行われ、挨拶しただけで朝会が解散することが一年間を通じて非常に少なかったです。
朝会の目的としては一旦は諦めたはずのチーム間のコミュニケーションや課題の早期発見・対応についても、朝会の目的を「挨拶すること」だけに絞ってから一定の効果が現れだしているのが、すごく興味深いと思います。
得られた学び
チームや個人によって、置かれている環境や状況、解こうとしている問題の性質や抱えている課題は全然異なります。
そんな中、全チーム・全員が同じ課題を抱えていると決めつけて、全体に影響があるようなルールや仕組みを乱暴につくり丸投げしても、うまくいくことは少ないはずです。
今回の件では、最初に「チーム間のコミュニケーション」「課題の早期発見と対応」が全体の課題だと決めつけた上で、それを解決するためのルール・仕組みとして「朝会」を作ってしまった形になります。チームや個人によって、そこに課題感を感じている場合もあるし、そうでない場合もあるのがうまく行かなかったポイントだと思います。
チームや個人が最高のアウトプットを出すためには、それぞれが置かれている環境や状況が異なることを理解し、それぞれが自分たちにとって一番最適な方法を考え、問題解決に取り組めるようにすることがすごく重要です。個別の事情を丁寧に理解・考慮せず全体に影響があるような乱暴なルールや仕組みを作ってしまうと、それがかえって足かせになってしまう可能性があります。
ですが、全員にとって価値があり、支えとなるようなルールや仕組みがあった方がいい場合もあるはずです。でもそれは、今回の朝会の「朝挨拶してから仕事を始めると気持ち良い」のような、かなり原理・原則に近い、シンプルな考え方・目的に則ったルールや仕組みになるのではないでしょうか。
そういった、原理・原則に近いシンプルなルールや仕組みが、一人ひとりが気づいていなかった課題や状況に気づくきっかけになって、自分たちのチームや個人が最高のアウトプットを出すための最適な方法にフィードバックされていく。そういった流れが作れれば最高だなぁと思います。
おわりに
エンジニアチームで”挨拶すること”だけが目的の朝会を1年間続けた話を紹介しました。
このエピソードに限らず、プレイドという会社では、「最高のアウトプットを出すために、既存のルールや仕組みにとらわれず、自分たちにとって最高のやり方を、常に目的まで立ち戻ってゼロベースで考える」という文化・考え方があります。
時には頭を悩ませ、時には難しいと感じることもありますが、これまで使ってこなかった頭を使っている感覚があり、僕自身の成長につながっているような気がしますし、長期的に他とは異なる価値をもったプロダクトを生み出すためには必要な考え方だと思っています。
終わりです。
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