抽象的な議論でこそ、自分のポジションをとる
最近、仕事で参加する議論の性質が変わってきたと感じる。
自分の役割が以前と少し変わってきた。解決したい課題がエンジニアリング領域のものだけではなく、開発プロセスやチームビルディング、採用など、領域が幅広くなってきた。
また、事業やプロダクトのフェーズも変化してきている。以前は「どう実現・実装するか」「どうやってリリースするか」という具体的な話が多かったが、今は「プロダクトの価値をどう高めるか」「プロダクトの成長をより加速させるためには」「それを実現する組織やチームを作るには」といった、より抽象的で俯瞰的な議論が増えている。
過去の職場でも同じような状況に取り組むことはあったけど、こういった抽象的な議論には、明確な正解がないし、選択肢も多く、どの選択肢にもトレードオフが存在する。だからこそ、自分のポジション——この議題に対して自分はどういう立場なのか、賛成か反対か、何を優先するのか——を明確にとることが大事だと、最近改めて感じている。
こういった抽象的な議論は不得意というわけではないのだけど、ついついやってしまうことがある。それは、議論の中で意見を求められた時、自信がないと尻すぼみになってしまうこと。最初は勢いよく話し始めるのに、途中から声が小さくなったり、語尾が曖昧になったりする。語尾に「思う」とか「気がする」といった、言い切らない言葉を使ってしまう。
準備が足りていない時、自分の中に確信めいたものがない時に、そうなりやすい。
確信を持てる時と持てない時
確信を持ってポジションをとれる時はどういう時か。振り返ってみると、それは直面している課題が自分の身をもって経験したことがある領域のときだ。それは成功体験でも失敗体験でもいい。自分が主体的に意思を持って取り組み、結果を見届けるところまでやり切った経験があると、自然と言葉に力が入り、自分の意見や意思をそこに載せることができる。
ただし、過去の経験と全く同じ状況は存在しない。だから、経験があるだけでは足りない。その経験を踏まえた上で、今の直面している状況に対してどれだけ準備ができているか。事前に考えを整理し、自分なりの仮説を持てているかどうか。そこが確信の有無を分けている。
背中を押してくれたフィードバック
先日、チームメンバー同士でお互いにフィードバックをしあう機会があった。そこでもらったフィードバックには、「もっと言い切ってほしい」「これまでの経験を最大限発揮して、チームを引っ張っていってほしい」ということだった。(意訳)
これを聞いた時、素直に「その通りだな」と思えた。自分でも薄々感じて、これからはより強化・挑戦したいと考えていたことを、はっきり言葉にしてもらえた感覚。背中を押してもらえたような気持ちになった。
ちなみに、僕がいる会社では「ポジションを持つ・とる」ことの重要性がミーティングの作法として明文化されている。組織としてそういう文化があることも、自分にとっては追い風になっている。
議論の前にポジションを書き出す
今やっている工夫がある。議論に参加する前に、自分のポジションを書き出しておくことだ。
ミーティングのオーナーであっても、一参加者であっても同じ。「この議題に対して、自分はどういう立場をとるのか」「賛成なのか、反対なのか、条件付きなのか」を事前に言語化しておく。それをメモに書いたり、ミーティング開始前や議論の冒頭でみんなに伝えたりする。
こうしておくと、議論の最中に自分の意思とは違う方向に流されにくくなる。もちろん、他の人の意見を聞いて考えが変わることもある。それはそれでいい。大事なのは、あらかじめ自分の立ち位置を明確にしておくことだ。
これから
意識して続けていくことで、少しずつ変わっていくことができる。経験を積みながら、確信を持てる領域を広げていく。抽象的な議論でも、自分の言葉で、自分のポジションを語っていく。そうすると、また自分の経験値が増えていき、自信を持ってポジションを持てる領域がどんどん増えていく。
自信があんまりなくても、確信が持てなくても自分のポジションを表明したり、それを正しいと言い切る。そして盛大に間違ってもいい。どれだけ自信があっても、大体間違ったことを考えたり、話したりしてしまうものなんだから。
自分が間違っていたとしても、その場に別のポジションをとっている人がいたら、その人とその場で議論して答えを見つけていけばいいよね。
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