どんなエンジニア組織でありたいか
最近は仕事中のほとんど全ての時間をアーキテクチャを設計したり、コードを書くことに使わせてもらってます。すごく楽しいです。
そんな中、自分自身も含めたエンジニア組織のあり方について、個人的に考える機会があったので、備忘録的にメモ。
組織ではく、サービス・プロダクトが作りたい
まず最初に頭に浮かぶのは、ユーザーの課題を解決し、価値を届け続けられる素晴らしい「サービス」と、それを支える「プロダクト」を作りたいということ。それを追い求める過程で、ひとりひとりが行動を積み重ね、その結果として必要な「組織」が自然と生まれていることが自分の理想。
「どんな組織を作りたいか」ではなく「どんな組織でありたいか」。先に「組織を作る」ということに焦点を当てすぎると、本当に成し遂げたかったことを見失ったり、本質的なことに使える時間が少なくなってしまうリスクがある。
組織のあるべき形に唯一無二の正解はない
組織のあるべき形は、どういう環境で、何を、どう成し遂げたいかによって変わる。組織を作っていく上での意思決定には、一部の原理原則やパターンを除いて、唯一無二の正解はない。
何かを選択することで、必ず別のトレードオフが発生するもの。それを理解した上で、自分たちに合った意思決定をしていく。これはシステムアーキテクチャを作っていく時とすごく似ている。
強い目的意識を持ちながら、何を得て、何を諦めるのかを適切に選択していく。諦めないといけないのものも、できるだけあきらめなずにできるだけ両取りする方法がないか探索する。
ある時点での選択が、未来もずっと正解であることはあまりない。状況の変化に応じて、過去の選択を覆してでもいいから、意思決定をアップデート、進化させていく。これも、システムアーキテクチャと似ている。
自分が今いる環境と大事にしたいこと
その上で、自分が今いる環境や、大事にしている考え・意思を言葉にしてみる。大事にしたいことには、「こういう環境ではこういう考えが必要」という話もあるし、自分がどこにいたとしても大事にしたい、信念みたいなものも混ざってる。
自分が今いる環境
自分は今不確実性の高いスタートアップにいる。時間とリソースが限られている中で、ビジョンの実現に向けて一歩でも近づき、事業をものすごいスピードで成長させていきたい。もちろん、これまでにない価値をユーザに提供し、未解決課題をより良い形で解決できるプロダクトをどんどん生み出していきながら。
「崖の上から飛び降りながら、飛行機を作っている」状態だということを忘れてはいけない。そもそも、組織のことだけをグルグル・長々と考えている時間はあまりない。
顧客の課題を解決し、会社のビジョンを実現していくためには、テクノロジーだけでなく、「人」の力がとても重要な事業領域に挑戦している。エンジニアリングの重要さを理解して、それを活用することで事業をブーストさせていくことも必要だが、エンジニアリングだけではできないこと・その限界を認識することも重要。
人とエンジニアリングの力の掛け算で課題を解決していく必要がある。
大事にしている考え・意思
「プロダクト」だけではなく、それを含めた「サービス」の提供を通じて、ユーザーに価値を届け、課題を解決する。サービスにはプロダクトはもちろん、会社を構成する全ての活動(営業、カスタマーサクセス、PR、マーケティング、デザイン、エンジニアリング、人事、コーポレート、などなど)と、それを支える全ての人たちが含まれる。
仮に最高のプロダクトが作れたとしても、顧客にとっては最高じゃない可能性を常に考慮する。何かを意思決定するときは、プロダクトだけではなく、サービスとしての全体最適を追求し、会社が生み出す価値の総量を増やし続けたい。
不確実性が高く、正解を誰も知らない環境の中では、一人の優秀な人の頭だけでは、全て領域を探索し切ることはできない。また、正解に辿り着く可能性も低い。1つの物事に対して、多くの人たちが、異なる視点・角度から探索・行動・学習を積み重ね、少しずつゴールに向かって進んでいく必要がある。探索・行動・学習のサイクルを、どれだけ同時に高頻度で起こせるかにこだわる。
その上で、人の可能性を信じる。心の底から信じれる・信じたいと思える人に仲間になってもらう。自分も含め一人一人のさらなる成長は必要。だけど、そもそも「人はすでに何らかのユニークな可能性を持っている」ことを正しく理解し、その可能性を、解くべき課題に最大限発揮できる環境を作ることが必要。そして、それを邪魔する要因は可能な限り取り除く。
もし「エンジニアやエンジニア組織はこうあるべきだ」という固定観念が、その人の本当の価値や可能性の発揮を邪魔するのであれば、取り除けないかを考える。エンジニアの役割を超えて価値が発揮できる人はその役割をどんどん広げていけるような、逆に1つのことに集中して深く探究することでインパクトを起こせる人はそれができる環境が必要。
おわりに
そうやって、ひとりひとりが、目の前や少し先の未来の課題に向き合い続けた結果、圧倒的に良いサービス・プロダクトが生み出されていて、ユーザーに価値が届き、ビジョンの実現に向けて世の中が少しずつ変わっていく。
その時にどういう組織が生まれているかはわからないけれども、結果として、きっとそれがその瞬間の組織のあるべき姿だと考えている。
そんなことをたまに考えたりしながら、まずは目の前のプロダクトをより良いものにするために、とにかく集中して手を動かすことがやるべきこと。組織ではなく、ユーザーにとってこれまでにない価値とサービス、それを生み出すプロダクトを作ろう。
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