ミーティングの成果は、始まる前の準備で決まっている
最近の仕事の中で、明確な反省点がある。
自分が参加したいくつかのミーティングに、準備不足のまま臨んでしまったことだ。その結果、他の参加者の貴重な時間を使っているにもかかわらず、議論の解像度を上げきれず、効果的な成果につなげられなかった。
ミーティングの成果というものは、その場が始まる前の準備段階で、大枠が決まるんだということを、改めて認識した。
オーナーとしても、一人の参加者としても
ここで言う「準備」とは、ミーティングの主催者(オーナー)やファシリテーターが、アジェンダや資料を作り込むことだけじゃない。一人の参加者としてミーティングに参加する場合も、その役割なりの準備が必要だ。
オーナーであれば、ゴール設定や進行の設計をするのは当然必要。
一方、参加者であっても、「そこにどういう意思を持って参加するのか」「どういうスタンス(賛成、反対、議論、聞き手)で臨むのか」を事前に整理しておいた方が、ミーティングの目的が達成できる可能性が上がる。
苦手な「アドリブ」と、得意な「観察」
個人的な話をすると、自分は人見知りということもあり、アドリブでのコミュニケーションがあまり得意じゃない。その場で気の利いたことを言ったり、予想外の展開を瞬時にさばいたりするのはとても苦手だ。
だからこそ、事前にシナリオを組み、準備をしておくことが自分にとっても重要になる。頭の中で仮説を立てて、ミーティングの進行パターンをいくつか想像しておいて、イメージトレーニングを事前に積めるかが勝負になる。
一方で、人見知りは、「相手のことをよく観察する」という長所も持っている。
メンバー一人ひとりの思考の癖、現在のモチベーション、今やりたいことや関心事。普段からそういうことを考えておくことで、「この人にはこういう投げかけをすればきっと響く」「この話題を振れば議論が活性化する」といった、人見知りなりのミーティング設計ができるはずなんだ。
しかし、準備を怠ると、その武器が使えなくなる。
本来なら相手の文脈を踏まえた良い議論を作れたはずなのに、自分の準備不足でその可能性を潰してしまう。これはとても「もったいない」ことだ。
準備不足が招く「負のループ」
準備をせずにミーティングに臨むと、その場での議論は浅くなる。前提条件の共有に時間を取られ、本来決めるべきことが決まらない。
結論が出なければ、当然のように「持ち帰り」や「再調整」が発生し、後日また別のミーティングが設定される。準備不足のミーティングが、さらなるミーティングを生む。この負のループは、個人だけでなく、チーム全体の時間を奪っていく。
ミーティングを設定するということは、参加者全員に対して、その時間の拘束だけでなく、予習や思考の整理といった「準備時間」という見えない負担も求めていることを、よく忘れてしまいがちだ。
ミーティングの準備の基本
こういった負のループを断ち切るために必要なのは、何か新しいアイデアや画期的なフレームワークではないと思う。
まだ自分が社会人経験が浅く、ミーティングのファシリテーションがうまくいかずに、何度も何度も失敗して悩んでいた時期があった。そんな自分を見て、職場のとある先輩がこんなアドバイスをくれた。
「ミーティングは準備が全てだよ」
「準備には基本の型があるから、まずはそれを徹底するといいよ」
それがきっかけで、ミーティングが得意そうに見える人に色々教えてもらったり、書籍を読んだりしながら、準備の基本を学んでいった。諸説あるかもしれないが、自分が理解しているミーティングの準備の基本は以下のようなものだ。
- 事前のアジェンダ共有: 議論の材料を事前に渡し、参加者が背景を理解したり、自分の意見を形成するための時間を作る。
- 目的とゴールの明確化: アジェンダには「何のために集まり(目的)」「会議終了時にどういう状態になっていれば成功か(ゴール)」を明記する。
- 議題の性質の定義: 参加者のスタンスを明確にするために、そのトピックは「共有」なのか、「決議」なのか、「相談」なのか、あるいは「議論(ブレスト)」なのかを明確にする。
- ネクストアクションの設定: 誰が、いつまでに、何をやるのかを決める。
- 議事録の公開: 情報の非対称性を生まないために、記録を残し、ミーティングの参加者、参加してない関係者に共有する。
何も新しいアイデアも特別な方法論でもない、ミーティングの準備の基本の型。
理想と現実の葛藤を超えて
こういった準備の基本が大事だということは、頭では痛いほど理解している。それでも、日々の忙しさに追い込まれてしまうと、この「基本」がおろそかになってしまう瞬間がある。
大事だとわかっているのに、自分がそれを体現できていない。他人に要求する時も『自分を棚に上げて』になってしまう。
この葛藤とどう向き合っていくといいのかな。「頑張る」と言っても、精神論だけになってしまい、また同じ失敗を繰り返してしまいそう。まだ、「これだ!」という解決策は浮かんでないけど、いくつかできそうなことを考えてみる。
一つは、「準備も含めてミーティングの時間(コスト)である」と定義し直すこと。
30分の会議なら、カレンダーには前後の準備・予備時間を含めた45分〜60分を確保する。「準備の時間がない」のではなく、そもそも準備の時間を確保できないようなスケジュール設計が問題だということにする。
もう一つは、「準備のハードルを下げる」こと。
完璧な事前資料が作れなかったとしても、ちょっとでも準備に頭を使えたらよしとする。開始5分前に「この会議のゴールは何か?」「自分のスタンスは?」を言語化し、ノートに3行書き出すだけでもいい。0点か100点かではなく、とにかく「手ぶら」で行かないことを、オーナーとしても参加者としても心がける。
こういうことから始めてみると、しっかり準備がされたミーティングの数を増やすことができるだろうか。とにかくやってみる。
「悪いプロセス」を固定化しないために
最近、AIを活用して業務を自動化・効率化する機運がとても高まっている。ミーティングもその対象になる代表的な業務の1つで、議事録の文字起こしや要約など、いろんなツールやソリューションが登場している。各社で自社開発している事例を目にすることもある。
でも、上に書いたようなミーティングの準備やその基本が満足にできていない状態で、「AIだー!」「自動化だー!」とか言っても、あまり意味がないと考える。
- 準備不足で議論が空中戦になって目的が達成できなかったミーティング
- 前のミーティングの宿題の進捗確認と、次のミーティングへの宿題と日程調整でほとんどの時間が終わったミーティング
こういったミーティングの議事録が自動で文字起こしされ、効果的に要約されたとしても、タイムラインに大量に流れてきたとして、それはあんまり役に立たないし、嬉しいことではないはずだ。
最適化されていない、無駄の多い業務フローをそのまま自動化してしまうのは、時期が早すぎる。無駄や混乱がそのまま自動化されて、会社全体に横展開されてしまう。また、自動化されたフローはブラックボックス化し、後から手を入れることが難しくなる。結果として、非効率なプロセスが「仕様」として固定化され、改善の機会が失われてしまう。
だからこそ、高度な技術やツールを適用する前に、まずは人間同士で本来やるべきコミュニケーションの手順、ミーティングで言うと上に書いたような準備の基本を、アナログな段階でも徹底してできるようになっておくことが重要。
凡事徹底。
もちろん、そういった基本の準備を支える技術やツールもあるだろうし、積極的に活用していきたい。ただ、僕自身がミーティングの準備不足になっている根本原因はそこにない気がしている。それ以前の段階で、誰かと議論やコミュニケーションの基本を忘れたり、準備を怠っているところにあるんじゃないかな。
また後日、変化や進展が生まれたら、ブログに書いてみようと思う。
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