[読書]決定力! 正解を導く4つのプロセス
「プロダクトマネージャーが読むべき何冊の本」みたいな記事で紹介されていたので読んでみた。(具体的な記事は忘れた。)
ソフトウェアエンジニアとして日々仕事をする中で、僕はいろんなタイミングで意思決定をしている。プロダクトの仕様を決めるとき、それを実現するための設計を決めるとき、障害対応の方針を決めるとき、採用面接に出席しているとき、など。挙げるとキリがない。
いくつかの選択肢を列挙して、それぞれの長所短所(Pros/Cons)を比較した上で、最終的にどれか一つを選ぶ。自分で判断がつかない場合は他の人と相談したりもする。
自分やチームの生産性を少しでも上げるためにはどうすればいいか、いろんな細かい工夫できるポイントはある。でも、間違ったこと(=やるべきじゃないこと)をしないということ以上に生産性を改善できることはないと思っている。誤った意思決定をし、その決定に従って効率的になにかをアウトプットしたとしても、極論生産性はゼロだ。だからいかに意思決定の精度を上げることが重要だと考える。
何かの意思決定をすることに対して、自分はそんなに自信が無いわけではない。感情的になることが正しい意思決定の最大の敵だと自分は思っていて、一時の感情に惑わされないように、できるだけ論理的に判断しているつもりではいた。
なんだけど、この本を読んでまだまだ自分は未熟だなぁと思った。
人間は意思決定に関しては「ポンコツ」だ。予測できない未来を正しく予測できると勘違いをして、自分が視野狭窄や確証バイアスの罠にかかっているのに気づかず、一時の感情に流されて、重要な意思決定を行なってしまいがち。一度行なった意思決定が正しかったのかを確認することも忘れて、軌道修正するチャンスをみすみす逃してしまっている。
本書は、人間が陥りがちな意思決定の罠を避け、少しでも意思決定の精度を上げるためのサポートとなるプロセス「WRAP」について紹介している。WRAPは、
- (W) 選択肢を広げる (Widen Your Options)
- (R) 仮説の現実性を確かめる (Reality Test Your Assumptions)
- (A) 決断の前に距離を置く (Attain Distance Before Deciding)
- (P) 誤りに備える (Prepare To Be Wrong)
の4つの頭文字をつなげた造語。それぞれについて、筆者がインタビュー等で仕入れた実話の例を交えながら解説されている。
このプロセスに従っえば意思決定が100%正しくなる、とかそういうものではない。ただ、プロセスに従うことで、不確実性を少しでも減らし、本来その不確実性の対処に使うはずだった、人間の脳の力(直感とか情熱とかひらめきとか)を、本来使うべきクリエイティブなところに使えるようにできる。そんなところに自分は価値を感じた。
読み終わって、自分にとって学びだった部分を列挙してみる。普段意識できていない部分が多いし、その分まだまだ自分の意思決定の精度に改善の余地があることに気づけた。
- 「○○をするべきか、否か」という質問が浮かんでいるときは視野狭窄に陥っているサイン。他の選択肢が無いか探そう。
- 「○○を選ぶべきか、それとも△△を選ぶべきか」という質問が浮かんでいるときも視野狭窄に陥っているサイン。どちらか一方 (OR) ではなく、両方 (AND)を選ぶ方法がないか検討してみよう。
- 特定の選択肢を選んだ際に断念しなければならないもの(機会費用)を考慮に入れてみよう。機会費用は無視されがちで、かつそれが無視できないインパクトを持っているケースがある
- 「この選択肢が最善である条件は?」という質問をそれぞれの選択肢に対して問いかけて見よう。他にも反証的な質問を投げかける癖をつけることで、確証バイアスを弱める事ができるかも。
- 信頼できる情報を得るために専門家に意見を聞くことは有効。でも過去と現在の話についてのみ聞くこと。未来については聴いちゃだめ。(誰も未来のことを予測することはできない)
- 必要な情報をあつめるために「やるかやらないか」ではあく「ちょっとだけやってみる」のもあり。実験できることを予測する必要はないし、理解できることを推測する必要もない
- 一時的な感情を乗り越えるために、その意思決定について「10分後、10ヶ月後、10年後」にどう感じるかを想像してみよう。一時的な感情に左右される可能性を小さくできるかも。
- 損失を回避できる選択肢を選びがち。これまで接触回数・時間が多かった物事が関連する選択肢を選びがち。気をつけよう。
- 意思決定が正しかったのか、そうじゃなかったかを一定期間後に確認するためにアラームをセットしよう。アラームの期間は、意味のある範囲でなるべく短く設定するのがよさそう。
意思決定を完璧にすることなんてできない。でも、改善することはできる。もっと大胆に、懸命にすることはできる。正しいプロセスがあれば、正しい選択へと突き進むことができる。そして、正しい選択を正しいタイミングで行えたなら、見違えるような未来が待っている。
本書の最後にこんなことが書いてあった。最近「プロセス」って聞くと全部疑ってかかってるんだけど、正しい目的があって、本来力を使うべきところに力を使えるようにするためのプロセスには価値がある。
個人でできることには限りがある。個人の力は前提としつつも、ものごとを多角的に捉えることが、意思決定の精度を高めるために重要なことだと思う。そういう人でチームがいっぱいになっていると、いいモノが作れそうだと思ったので、本書を読んでから自分が所属しているチームにおすすめしてみた。
正しい意思決定を積み重ねよう。もし間違えても軌道修正して、正しい道に戻ろう。そして、素晴らしいプロダクトをつくろう。そうしたいひとは、一度手にとって読んでみてほしい。
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